【第1回 プロが教える】こどもの肘が抜けたかも【肘内障】

整形外科

どうも~夫です。

整形外科専門医も取得し後輩の育成もし始める年代となりました。

ネットを見ていて、医師が一般の患者様向けに情報発信しているものが少ないので、できるだけわかりやすく情報発信をしてみようと思います。

第1回はこちら、

こどもの肘が抜けた・・・? 肘内障かも

関節痛のイラスト(ひじ) | かわいいフリー素材集 いらすとや

当直をしているとよく来られます。

多いパターンとしては、

  1. こどもがこけそうになったところ、腕を引っ張ってから痛がっている
  2. 服を着替えさせていて、腕を引っ張ってから痛がっている
  3. こども同士で遊んでいて、気づいたら腕を痛がっている

の3つですね。受け入れの電話の時点で肘内障かな~と考えながら待ちます。

病態

肘内障とは画像のように橈骨頭(親指側の骨の先端)が輪状靭帯から亜脱臼(一部抜けた状態)になることで生じます。
この靭帯は、ハチマキのように巻き付いているだけなので力が入っていない状態で腕を引っ張ると簡単に抜けてしまいます。

出典:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/pulled_elbow.html

特徴

肘内障になると、下の画像のように肘を伸ばして手のひらを下に向ける特徴的な状態になります。この時、バンザイを痛がるため肩を痛めたとか、手首を持っているので手首が痛いのではと勘違いすることが多いです。

肘内障の診断

治療

結論から申し上げますと整形外科を受診するのが第一です。亜脱臼した状態では痛みはとれないため、整復操作が必要です。この整復が少しコツがいるので整形外科医を受診されることをお勧めします。

ただ、すぐに病院受診ができない状況でどうしようもない時(山奥で下山に何時間もかかる・・・)にはチャレンジするのもありかもしれません。

わかりやすい動画がありましたので貼っておきます。

私は回外法(手のひらを上に向ける)で整復することが多いです。
→最近は回内法(手のひらを下に向ける)で整復するようになりました。理由は皆さん受診時に回内位で来院されます。回外すると痛みを訴えることが多いことから回内位のまま整復できるこちらがより疼痛が少なく良いと考えます。整復操作で泣かれることも少なくなりました。

親指で橈骨頭を触れたまま、しっかりと回しきることがコツです。こきっとした感触が親指に触れたら整復された証拠です。軽く手を引っ張りながら整復するとより痛みが少ないようです。

注意点

本当に肘内障なのか、それとも骨折が原因なのかの判断が必要になることがあります。

先ほど挙げた受傷起点以外に多いのが、転倒して手をついたパターンです。

手を引っ張った後から痛がっている場合は、ほぼほぼ肘内障と考えますが、転倒後の場合は骨折も考えなければいけません。

なので、ケガをした原因がわからない場合は整形外科を受診することをお勧めします。骨折しているのに整復操作をすると、こどもを痛い目に合わせるだけでなく、骨折部がズレてしまい悪化させてしまう可能性もあります。

まとめ

以上、肘内障について解説しました。いかがだったでしょうか。

わかりにくいところ、他に解説してほしいものがあれば気軽にコメントを残していただけますと幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました